第198章

霧生嵐は感覚の失せた足を揉みほぐしながら問いかけた。

「割に合わないと言うなら、山下、お前はどうして一人の女のために刑務所に入ったんだ?」

「若気の至りですよ」

山下はそれだけ言うと、口を閉ざした。

夜の人通りは少なかったが、それでも患者の家族や当直の看護師、医師が行き交っていた。病室の前で跪く霧生嵐の姿に、彼らは一様に好奇の目を向ける。

空が白み始めた頃、山下は霧生嵐の顔色が蒼白なのを見て取ると、病室へ入っていった。ほどなくして戻ってくる。

「お爺様が、もう立っていいと仰っています」

霧生嵐は薄く笑った。

「ありがとう、山下」

地面に手をつき、立ち上がろうとする。だが、長...

ログインして続きを読む