第21章

「い、いえ……」

神代雪璃は頬をカッと熱くさせ、居心地悪そうに身を縮めた。

「ありがとうございます、紡木マネージャー。あのお薬代、おいくらですか。お支払いします」

紡木祈は、霧生嵐の手の者だ。先ほどは、この塗り薬が霧生嵐の差し金かと思い込んでいたが……。

自分はなんて愚かだったのだろう。彼は、この卑しい命をもって月見優心に償わせたいと願っている男だ。そんな彼が、私の傷など気にかけるはずがない。

「いいわよ。大した額じゃないし」

紡木祈は立ち上がると、床の血痕を避けるようにして、艶然と歩き出した。それ以上は何も言わず、ドアの方へと向かう。

「待ってください!」

神代雪璃は、怯え...

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