第210章

霧生グループ、社長室。

霧生嵐は受話器を耳に当て、電話の向こうの要求を聞くと、わざとらしく困ったような表情を浮かべた。

「親父、知ってるだろ? 俺は社長を解任されたばかりで、手持ちのたった五パーセントの株式まで没収された身だ。その上、経済事犯の容疑で捜査まで受けてる。内憂外患のこの状況で、これ以上誰かの恨みを買うような真似ができるわけないだろう」

「お役所仕事のような言い訳をするな!」

霧生父の低い声が響く。

「月見叔母さんから連絡があった。星夜会所が完全に包囲されて身動きが取れないそうだ。お前は会所のトップだろう、顔を出して事態を収拾するのが筋というものだ」

霧生嵐は指先でデス...

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