第25章

彼が何かを言おうとした、その刹那――。

階段室の防火扉が、外から押し開けられた。

隙間から射し込む光が、二人の艶めかしくも張り詰めた姿を白日の下に晒す。

逆光の中に立つ人影、それは虹野光だった。

彼女の顔に張り付いていた笑みは瞬時に凍りつき、中にいるのが神代雪璃と月見映司だと認識した瞬間、その美しい顔立ちは嫉妬と憤怒で醜く歪んだ。

「神代雪璃! このクズ女!」

虹野光は悲鳴のような声を上げ、狂ったように駆け寄ると、雪璃の頬を張ろうと手を振り上げた!

雪璃は反射的に目を閉じた。

だが、予期していた痛みは襲ってこない。

月見映司が、寸でのところで虹野光の手首を掴み止めていた。

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