第27章

神代永世は物音に気づき、反射的に振り返った。

しかし、少し離れた場所に立つ人影が神代雪璃だと確認した瞬間、その表情は凍りついた。

そこに驚きや、娘を案じる色は微塵もない。

あるのは、完全なる「衝撃」と、隠そうともしない「嫌悪」だけだった。

神代雪璃は足を引きずりながら、緩慢な動作で一歩踏み出した。

「お父さん、私……」

「来るな!」

神代永世が鋭い声で制した。まるで、彼女という汚穢が自分に付着するのを恐れるかのように。

彼はそれ以上娘を直視することさえ忌避し、素早く身を翻すと、運転手に怒鳴った。

「急げ! 早く出せ! 車を出すんだ!」

運転手は一瞬呆気にとられたが、すぐに...

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