第35章

泉凪紗は、彼女に対して初めて同情という感情を抱いた。

「背中のその傷……全部、刑務所でついたものなの?」

神代雪璃は小さく「ええ」とだけ答えた。あの場所で過ごした日々は、彼女にとって振り払うことのできない悪夢であり、思い出すことさえ苦痛だった。

「じゃあ、この新しい傷はどうしたの?」

泉凪紗は彼女を痛がらせないよう、細心の注意を払って傷口の手当てをした。

それでも、神代雪璃の体がわずかに痙攣するのを彼女は見逃さなかった。

「痛い」と言ってくれれば手加減できるのに、神代雪璃は呻き声ひとつ上げない。まるで……痛みそのものに慣れてしまったかのようだ。

「不注意でぶつけたの」

神代雪...

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