第38章

何年も、何年も、彼女はただ彼の背中を追いかけ続けてきた。彼が自分を追い払わない限り、それだけで天にも昇るような心地だったのだ。

彼は生まれつき淡白で、他人への接し方を知らないだけだと思い込んでいた。自分が尽くしさえすれば、それでいいのだと。

だが、違った。

分からないのではない。単に、最初から彼女になど関心がなかっただけなのだ。

「ありがとう、嵐兄さん」

月見優心の瞳が驚きと喜びで輝く。

「これが好きなのか?」

霧生嵐は取り箸を置き、自分の箸を手に取り直した。

「あとで追加注文させよう」

月見優心は頬を微かに染め、小さく頷いた。

神代雪璃は...

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