第40章

泉凪紗は居心地が悪そうに、曖昧な笑みを浮かべた。

「霧生さんをお待たせしてはいけないわ。泉凪紗、お先に失礼するわね」

神代雪璃の表情は凪いでいたが、車椅子のグリップを握る手は、指先が白く変色するほど力が込められていた。

彼女は月見優心を駐車場まで推していき、ベントレーの中に座る霧生嵐の姿を認めた。

彼はドアを開けて車を降りると、その視線は神代雪璃を素通りし、真っ直ぐに月見優心へと注がれた。

神代雪璃は目を伏せた。心はとうに痛みで麻痺している。

彼の瞳には月見優心しか映っていない。それは、とうに分かりきっていたことだ。

だが、それでも不甘(悔しさ)が込み上げ、怒りが燻る。

どう...

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