第42章

それきり会話は途切れ、車内には不気味なほどの静寂が漂った。

神代雪璃はバックミラー越しに、さりげなく霧生嵐の様子を窺った。後部座席に座る彼は、窓の外に視線を投げている。その横顔は氷のように冷たく、先ほどの彼女の言葉が彼の逆鱗に触れたのかどうか、読み取ることはできなかった。

十分ほどが経過し、彼が自分を咎める様子がないことを確認すると、神代雪璃はようやく、いつの間にか小鼻に滲んでいた薄い汗をこっそりと拭った。

ベントレーが星夜クラブの前で静かに停車する。神代雪璃は車を降り、遠ざかっていくテールランプを無言で見送った。

「雪璃ちゃん!」

不意に肩を叩かれ、彼女は驚いて振り返った。

そ...

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