第60章

霧生嵐は瞳の奥に鋭い光を宿し、彼を一瞥した。

「知りたいか?」

千早弦は頷く。

「まあな、少し興味はある」

「なら、一生気にしてろ」

霧生嵐は組んでいた足を組み替え、ネクタイを緩めると、わずかに眉を寄せた。

「……冷たい男だ」

千早弦はテーブルの上の銀縁眼鏡を手に取り、レンズを拭いてからかけ直した。

「嵐、ほどほどにしておけ。逃げ道くらい残してやらないと、お前のためにも彼女のためにもならないぞ」

霧生嵐は何かを思い出したのか、鼻で笑った。

「叔父さんや叔母さんに頼まれて、神代雪璃の助命嘆願か?」

「そんなところだ」

千早弦は眉間を揉み、呆れたように言った。

「あと、...

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