第61章

ベッドに横たわっていた神代雪璃は、二人が入ってくるのを見て、シーツに手をつき上体を起こした。

「伯母様、霧生社長」

「あなた、私たちにまでそんな他人行儀な挨拶はよしなさい」

如月菫は呆れたように溜息をつくと、霧生嵐に指示を出した。

「ほら、早く雪璃ちゃんを寝かせてあげなさい」

霧生嵐は短く応じると、神代雪璃のベッドサイドへ歩み寄り、彼女を半ば抱きかかえるようにして再び横たえさせた。

彼の纏う気配が神代雪璃を包み込む。右耳が彼の胸板に触れ、沈着で力強い心臓の鼓動さえもが伝わってくる。

彼女は反射的に息を止め、背中どころか全身の細胞が総毛立った。

「あらあら。事情を知らない人が見...

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