第62章
神代雪璃は唇を真一文字に引き結び、沈黙を守った。「はい」と言えば、月見夫人はさらに執拗に彼女を甚振るだろうし、「いいえ」と言えば、その報復は兄に向けられる。彼女には、黙り込む以外の選択肢がなかった。
「優心はあんなに心が優しい子なのよ。あなたに車で轢き殺されそうになったのに起訴もせず、たった三年の服役で許してあげたの。それなのに、あなたは何度も何度もあの子を害そうとするなんて!」
月見夫人はベッドサイドに詰め寄ると、鋭く伸びたネイルの先で神代雪璃の額を力任せに突いた。
「あなたの良心は犬にでも食わせたの!?」
神代雪璃の額は瞬く間に赤く腫れ上がったが、彼女は身じろぎ一つしなかった。
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