第67章

千早弦は思案顔で彼女を一瞥すると、暁真昼に揺さぶられて落ちそうになった銀縁眼鏡を指先で押し上げた。

「まずは降りろ」

「先に約束してよ!」

暁真昼はテコでも降りようとしない。

「師匠、弁護士の仕事って勧善懲悪でしょ? 神代雪璃さんが霧生嵐にあんなにいじめられてるんだから、助けてあげてよ!」

千早弦は淡々と訂正した。

「それは検察官や警察の仕事だ。弁護士が仕えるのは金だけだ」

彼に助ける気がないのを見て、神代雪璃は口を開きかけた。『暁さんのお気持ちだけで十分です』と言おうとしたが、その言葉を飲み込んだ。

彼女はシーツを強く握りしめ、うつむいた。呼吸が普段より少し荒くなる。

千...

ログインして続きを読む