第9章

霧生嵐は否定もせず、テーブルの上の酒に視線を落とすと、無造作にグラスを一つ持ち上げた。

「お前の言った通り、皆楽しむために集まってるんだ。好きに遊べばいい。興を削いで悪かったな、こいつらのツケは全部俺に回しておけ」

「霧生社長に支払わせるなど、滅相もありません」

「お前の誕生日だ、俺が奢るのは当然だろう。先に楽しんでいてくれ、後でまた来る」

そう言うと、彼は神代雪璃を抱き寄せ、風間凛の反応など気にも留めず、踵を返して出口へと歩き出した。

人波が自動的に割れて道ができる。誰もがその冷酷な背中と、その腕の中の小柄な影を見つめ、瞳に衝撃と困惑を浮かべていた。

エレベーターのドアがゆっく...

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