第106章

目を覚ましたとき、私はもう病院にいた。

意識が少しずつ浮上してくる。全身がだるくて、このままもう一度眠りに落ちてしまいたい。けれど――無理だ。耳元がやたらとうるさい。誰かがずっと、ぶつぶつと私の耳に言葉を流し込んでくる。

ゆっくり目を開けようとする。世界はまだ闇の中みたいで、重たいまぶたを少しずつ持ち上げた瞬間、眩しい白に刺されて反射的にまた閉じた。

耳に届くのは、小野寺礼臣の声。

「なつちゃん、なつちゃん……起きた? 目、開けて。お願いだから寝ないで、なつちゃん――」

……この声だ。とにかく、うるさい。

滲んでいた色が輪郭を取り戻し、視界がはっきりしてくる。目の前にいたのは、赤...

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