第108章

汐見奈緒が見舞いに来たときの騒ぎは、正直ちょっと大きかった。ドアをくぐった瞬間から、もう泣き声が響き渡る。

「なつちゃん、大丈夫!? びっくりさせないでよ……! 私が電話しなかったら、事故ったことも知らなかったんだから! 体は? 腕とか足とか、ちゃんと動く?」

私は力なく首を振って「平気だよ」と伝えたつもりだったけれど、声は彼女の号泣にかき消されて、届く気配すらない。

奈緒は涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、いきなり布団をめくって様子を見ようとした。

……いや、榎本槙野もいるんだけど? この状況で、私の布団を直でめくる?

私は慌てて布団の端を掴み、必死に引き寄せた。上は病衣を着ているけど...

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