第112章

廃工場を出ても、小野寺礼臣の顔色は相変わらず冴えなかった。

車に乗り込むと、私はそっと彼の手の甲に自分の手を重ねた。

「さっきの話……鵜呑みにはできないよ」

小野寺礼臣は苦笑して、首を横に振る。

「分かってる。でも、あいつの言ってること……当たってる可能性もある」

腑に落ちない。小野寺礼臣と室橋志岐の関係がどれほどのものか、私は詳しく知らない。けれど長年組んできたのなら、たった一言で疑心暗鬼になるほど信頼が薄いとも思えなかった。

小野寺礼臣は小さく息をついた。

「志岐を疑ってるっていうより……最初から知ってたんだ。あいつが俺に近づいたのは、別の目的があったからだって」

ますま...

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