第114章

小野寺礼臣の顔色が、みるみるうちに悪くなった。反論しようとしているのはわかる。けれど榎本槙野の問いかけは、どこにも綻びがない。さっきまでの穴だらけのやり取りが、逆に礼臣の言葉を奪っていた。

「なつちゃん、俺は……」

その瞳に浮かんだのは、怯えだった。私が自分を信じないかもしれない――その恐怖。

私は柔らかく、それでも揺るがない目で彼を見返す。彼は昔こう言った。世界中が私に敵意を向けても、自分だけは必ず味方でいる、と。だから今度は私が、誰が何を言おうと彼を信じる番だ。

「もういい。信じてる」

迷いなく、そう返した。

榎本槙野が露骨に顔をしかめる。

「葉夏。俺が押さえてなかったら、...

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