第117章

私は室橋志岐と、私的な場で会うのはこれが初めてだった。

これまで何度か公の席で見かけたことはある。けれど彼はいつも小野寺礼臣の少し後ろに控えていて、正直、強い印象は残っていない。

――ただ、こうして改めて向き合うと、思っていた以上に目を引く男だった。

痩せ型で背が高い。人前に立つだけで、すっと姿勢が整う。育ちの良さというか、生まれつきの品が滲んでいる。奥行きのある瞳は感情を読ませず、薄い唇がきゅっと結ばれたまま、わずかに弧を描いた。

「葉夏さん。お目にかかれて光栄です」

私は軽く会釈し、それ以上は言葉を足さなかった。

礼臣は室橋志岐を脇の席へ促し、私を自分の隣に座らせると、前置き...

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