第126章

彼女が果物籠を投げつけてきた、その瞬間――私は避けもしなかった。

小野寺允樹が二歩、前へ出る。迷いなく手を伸ばし、彼女の肩を押し退けた。果物籠は私の頬をかすめ、壁へと叩きつけられてぐしゃりと潰れる。

夏川清美は、投げ捨てられた人形みたいに壁へ激突し、跳ね返って、最後は床へどさりと転がった。

震える悲鳴のあと、清美は顔を上げ、小野寺允樹を信じられないという目で見つめる。――きっと想像もしていなかったのだろう。かつて自分を庇ってくれた男が、私のために自分を突き飛ばすなんて。しかも、お腹には彼の子がいるのに。

白いワンピースに、鮮やかな赤がじわじわと滲んでいく。まるで、今にも散りそうな...

ログインして続きを読む