第130章

小野寺のおじいさんは、体の具合が悪くなっただけじゃなく、記憶までずれてしまっていた。

病院に入院してからもうしばらく経つ。調子のいい時は、何人かの顔を思い出せることもある。けれど大半は、意識が霧の中に沈んだみたいに混乱していた。

この前、私が見舞いに行った時のことだ。氷上雅子が家族写真を手にして、ベッドの横で本人に確認させていた。

「お父さん、ほら、この人が景山さん。あなたの息子はこの人だけよ。それで、こっちが允樹。お孫さん」

小野寺のおじいさんは苛立ったように写真をばしんと払いのけた。

「そんなもんで俺をごまかすな! お前ら、俺をさらって何がしたいんだ。息子のふりまでして、目的は...

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