第134章

すぐに、私は小野寺礼臣の言葉の意味を悟った。

私たちの車はすぐには発進しない。街灯の届かない影に停めたまま、息を潜めて待つ。

街灯の下に、室橋志岐の姿が現れた。スマホを取り出し、配車アプリでも開いたのか、何度か操作してから俯いたまま路肩で待ち始める。

たぶん電話だ。耳に当てた横顔が、ふっと笑った――その瞬間、黒いセダンがすっと目の前に滑り込み、志岐は迷いなくドアを開けて乗り込んだ。

前の車が走り出すのを待って、小野寺礼臣はすぐに後を追い始める。

「……行き先を見届けるつもり?」

私の問いに、礼臣は首を振り、ちらりとこちらを見て笑った。

「俺もどこへ行くかは知らないよ。顔に傷のあ...

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