第14章

 二年という時間は、驚くほどあっという間だった。

 その二年間で、榎本槙野の名義にある事業は――まるで貪欲な蛇が餌を飲み込んでいくみたいに――同業を少しずつ食い潰し、取り込み、勢力を膨らませていった。以前は小野寺礼臣が真っ向から張り合っていたが、今となっては榎本槙野の独壇場。彼の牙城を脅かせる者は、もういない。

「本当に行くのか。……決めたんだな?」

 三年の付き合いのせいか、榎本槙野は私をただの部下として扱っているだけではなかった。声の端に、気づかれない程度の名残が混じっている。

 私は彼に笑いかけた。

「最初に約束したでしょう。私はこの日を、ずっと待ってた。……帰って、自分の手...

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