第140章

小野寺おじいさんが目を覚ましたと知るや、氷上雅子は早足でベッドへ駆け寄り、興奮を隠せない顔で覗き込んだ。

「お父さん、しっかりして。ねえ、遺言書ってどういうこと? ちゃんと説明してよ」

けれど小野寺おじいさんの濁った瞳はどこにも焦点が合っていない。さっきから同じ言葉を繰り返すばかりだった。

「家に帰りたい……連れてってくれ。母ちゃんが家で待ってるんだ」

小野寺景山が一歩前に出て、無理やり笑みを作る。

「父さん、今は病院でちゃんと治療しよう。良くなったら、みんなで帰ろうな」

小野寺おじいさんは景山を見て、首を横に振った。

「……お前、誰だ? なんで勝手に父さんなんて呼ぶ。俺はお前...

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