第150章

私は何気なくバッグを脇のテーブルへ置いた。すると小野寺礼臣が慌てて立ち上がり、穏やかな笑みを浮かべて近づいてくる。肩を揉みながら、柔らかい声で言った。

「今日は疲れただろ。たぶんもう料理、冷めてる。先に五分だけ座ってて。温め直したら食べよう」

私は小野寺景山たち一家のほうを見もしないまま、頷いて笑い返す。

「旦那さん、お疲れさま。あなたがいてくれて助かる」

小野寺允樹の顔色がさっと沈み、勢いよく立ち上がろうとした。だが氷上雅子が咄嗟に腕を掴んで引き止め、そのままソファへ押し戻す。彼女は黙って首を横に振った。

私は視線の端を引っ込め、唇だけで冷たく笑う。食卓に座り、スマホで時事ニュー...

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