第155章

来た相手の姿を見た瞬間、胸の奥がすっと落ち着いた。

目の前に立っていたのは四十代半ばほどの男だ。背は高くない。だが、どっしりとした立ち方ひとつで、こちらに「侮るな」と言ってくるような圧がある。

皺ひとつない清潔なスーツ。やや薄くなった髪はきちんと撫でつけられ、私の固く結んだ唇を見て、男はわずかに笑った。

「突然お呼び立てして申し訳ない。気を悪くしないでください、葉夏さん。どうぞ、中へ」

私も微笑み返す。

「ご丁寧に。わざわざお時間を取らせたのは、どんなご用件でしょうか」

男は名乗りもしないまま、いきなり核心に踏み込んできた。

「葉夏さんは頭のいい方だ。回りくどいことは言わない。...

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