第156章

案の定、私をさらったのは楠田尚敬だった。

その顔からは、いつも貼りつけていた愛想のいい仮面がとっくに剥がれ落ちている。私を見る目は獣みたいに歪み、冷え切っていた。

「連れて行って、吐かせろ」

左右の黒服が同時に私の腕をきつく掴み、ねじ上げるようにして奥へ押し立てる。

ここは……屋敷か、どこかの邸宅らしい。車から降りた瞬間、少し離れた芝の上でゴルフをしている男が見えた。こっちの騒ぎなど、まるで耳に入らないみたいに一度も視線を寄こさない。

部屋に通されると、楠田尚敬が氷のような顔で私を見下ろした。

「葉夏。前に言ったよな。忠告したはずだ。……俺に恥をかかせるな」

合図ひとつ。隣の男...

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