第166章

退院の日、榎本槙野と汐見奈緒がそろって顔を出した。

汐見奈緒は花束を抱え、もう片方の手で榎本槙野の腕に絡みつく。笑顔は甘ったるいほどで、見ているだけで胸がざらつく。

「退院おめでとう。早く良くなってね」

花束を、私の目の前に差し出してくる。

受け取ってから二人を一瞥した。昨日、電話越しに――あの距離感で絡み合っていた光景が脳裏に焼きついていて、勝手に顔が強張る。

「奈緒、私と一緒に帰るよ」

汐見奈緒は鼻先にしわを寄せ、私の手を取ってぶんぶんと揺らした。甘えるみたいに。

「私も送っていきたいよ。でも本当に用事があるの。そんな顔しないで。戻ったらすぐ会いに行くから」

その笑い方が...

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