第168章

小野寺礼臣は、小野寺允樹が呆然とした顔で立ち尽くし、自分に原因を求める気配すらないのを見ると、冷ややかに一瞥して、もう一度だけ釘を刺した。

「……あるいは、自分がいったい何人に害を与えてきたか、考えてみたらどうだ」

小野寺允樹は眉を寄せ、真剣に思い返すように目を伏せる。だがすぐに首を横に振った。

「葉月に申し訳ないことをした。それ以外に、誰かを害した覚えはない」

「十年前は?」

小野寺礼臣は淡々とそう言い、表情を崩さないまま、允樹の顔色の変化を探る。

その一言で、允樹の顔がさっと強張った。口を開きかけたものの、言葉は喉の奥で押し殺される。次の瞬間には、何事もなかったように表情を整...

ログインして続きを読む