第25章

その夜、小野寺礼臣は帰ってこなかった。

翌朝早く、私は電話を一本入れて執事に車を用意させ、そのまま国際貿易ビルへ向かった。

3階に上がると、案の定――夏川グループの看板はまだ掛かったまま。中を覗けば社員が出たり入ったりしていて、引っ越す気配なんて欠片もない。

――なるほど。穏便にいかないなら、力づくで来いってこと?

東南アジアで3年。別に何かを身につけたわけじゃないけど、こういう手合いの対処だけは、見ているうちに嫌でも「プロ」になった。

私は軽く手を上げた。背後に控えていた迷彩の制服を着たプロの護衛チームが、一斉に前へ詰める。

全自動のガラス扉を指さし、脇にすでに組まれている撮影...

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