第30章

汐見奈緒とアフタヌーンティーを済ませて小野寺家に戻ると、小野寺礼臣はまだ帰っていなかった。ちょうどそのタイミングでスマホが鳴る。表示された名前を見て、思わず眉が動いた。

榎本槙野からだった。

意外に思いながら通話を取ると、耳に飛び込んできた声は相変わらず淡々としている。

「戻ってから、ずいぶん景気よく遊んでるらしいな」

私は薄く笑った。

「榎本社長って、思ったよりお暇なんですね。そんなに私のこと気にしてくださるなんて」

榎本槙野が、ふっと笑った気配がした。

「電話したのは、二、三言だけ伝えたくてな。この二日ほど、お前のことを嗅ぎ回ってる連中がいる」

それは別に驚かない。私が唐...

ログインして続きを読む