第36章

「なつちゃん、さっき何考えてた?」

 部屋に戻るなり、小野寺礼臣が険しい顔で私を見据え、詰めるように言った。

「何って? 考えてることなんて山ほどあるし、いちいちあんたに報告する必要ある?」

 笑って視線を受け止める。ほんとこの人、機嫌が晴れたり曇ったり忙しい。人の頭の中まで管理するつもり?

 礼臣は自分の言い方がきつかったと気づいたのか、慌てて言い直した。

「いや、そうじゃない。小野寺允樹を見て、何を考えてたのかってことだ。忘れるなよ、お前はいま俺の婚約者なんだから」

 思わず、ぷっと吹き出した。まるで本物みたいな言い方。すぐに笑いを引っ込め、上着を脱いでベッド脇へ放る。

「...

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