第49章

映画館にまた足を踏み入れたとき、私はふと、遠い世界へ来てしまったような気がした。

まるで――もう何年も、映画なんて観ていなかったみたいに。

小野寺礼臣は私を脇の席に座らせると、ほどなくしてコーラと大きなポップコーンの桶を抱えて戻ってきた。

「映画のお供といえば、これだろ。はい」

私は笑ってそれを受け取る。

「こんなの、子どもが好きなものでしょ」

「でもさ、誰だって子どもでいたいと思うもんじゃない?」

小野寺礼臣は、いかにも自分らしい理屈を口にした。

「できることなら、なつちゃんにもそんなに気負わずにいてほしいんだ。何の心配もなく過ごせるのが一番いい。まあ、無理だってわかってる...

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