第51章

目が覚めると、まだ少し早い時間だった。けれど床に目を落とした瞬間、小野寺礼臣の姿は、またしても消えていた。

そんなに忙しいの?

……でも、家にいないならいないで好都合。だからこそ、私にはチャンスがある。

ラフめのオフィスカジュアルに着替え、薄くメイクを整える。ドアを押して廊下へ出ると、ちょうど向かいの部屋の扉も開き、小野寺允樹が顔を出した。

「おはよう」

こちらから先に微笑みかけ、そのまま踵を返して階段へ向かう。

背中に視線が刺さっているのがわかる。階段の踊り場でふっと振り返り、いかにも無害な笑みを浮かべた。

「降りて朝ごはん、食べないの?」

允樹は慌てたように視線を逸らし、...

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