第52章

夏川グループの工場門前に車を乗りつけると、小川社長と夏川森はすでに外で待っていた。スポーツカーが停まるやいなや、夏川森のほうが小川社長より一歩早く出てきて、さっと私のドアを開ける。

「いやあ、待ちに待って……ようやく会長をお迎えできました……」

――私がサングラスを外し、車から降りた、その瞬間。

彼の笑みが、顔の上でそのまま固まった。

「君……」

信じられないという色が、目の奥からじわじわと滲み出す。小川社長が言っていた「ずっと海外にいる会長」が、まさか国際貿易ビルから自分たちを追い出した当の相手だなんて、想像もしていなかったのだろう。

私は明るく笑ってみせた。

「こんにちは、...

ログインして続きを読む