第55章

小野寺礼臣を連れ出す前に、向こうが先に増員を呼んだ。

スーツ姿の痩せた長身の男が、鋭い眼差しで私を射抜く。

「ここはな、好き勝手に出入りできる場所じゃない。来たい時に来て、帰りたい時に帰れると思うなよ」

三年前の誘拐の件を、私は一瞬たりとも忘れたことがない。目の前のこいつ――あの日、夏川清美に電話を入れていた男だ。

……いい。揃って出てきた。私が探す手間すら惜しんでいた連中が、向こうからぶつかってきたんだから。

さっきの警備員がすぐさま駆け寄る。

「山村さん、やっと来てくれましたか。こいつです、この女です。大勢連れて乗り込んで暴れて、挙げ句ここで公然と誘拐しようとしてます」

山...

ログインして続きを読む