第57章

家に戻ると、玄関に入った瞬間、小野寺おじいさんが慌てた様子で駆け寄ってきた。

「今どんな具合だ? 昨日は何があった。怪我はしてないか?」

露骨なほどの心配にさらされ、小野寺礼臣は明らかに半歩、身を引いた。

けれど礼臣はすぐに表情を整える。口元に浮かべた笑みはきちんとしていて、隙がない。

「父さん。心配かけてごめん。大丈夫だよ。昨日の夜、ちょっと飲みすぎただけ。気分が悪いから、先に上に行く」

小野寺おじいさんは慌てて言う。

「礼臣。日向局長って男な、見た目は人畜無害でも、腹の中はあいつがいちばん黒い。関わるならくれぐれも用心しろ。これから酒の席に行くなら、必ず信用できる人間をそばに...

ログインして続きを読む