第62章

国際貿易ビルに着くと、エミリがスタッフに指示を飛ばしながら、オフィスの最終確認をしているところだった。私たちの姿を見つけるなり、すぐに駆け寄ってくる。

「葉夏さん、小野寺さん、こちらは準備完了です。レッドカーペットは通路に沿って端まで敷き終えておりますし、メディアの皆さまにもすべてお声がけ済みです」

私は小さくうなずいた。小野寺礼臣が紹介してくれたこの人事担当は、やはり仕事が丁寧だ。気配りも行き届いている。

「開業祝いの花籠は、まず正面玄関とロビーを優先して置いて。余った分があれば、こっちの入口にも回してちょうだい」

エミリは小野寺礼臣のほうを一度見てから、にこりと笑った。

「かし...

ログインして続きを読む