第65章

 夏川文雄がすぐにでも私のところへ来るものだと思っていた。まさか最後に現れたのが、小野寺允樹だなんて。

 応接室に座る彼はどこか落ち着かない様子で、私がゆっくり近づいていくのを見るなり、あわてて立ち上がり、ぎこちない笑みを浮かべた。

 「叔母さん、今、お忙しくないですよね?」

 「何か用?」

 私は軽く笑って、そのまま単刀直入に聞いた。

 小野寺允樹は少しためらった。こちらの我慢が尽きる寸前になって、ようやく腹をくくったように口を開く。

 「実は、人に頼まれて来たんです。文雄さんから聞いたんですが、叔母さんって葉月と知り合いなんですよね? じゃあ、前に俺が思ってたこと……やっぱり...

ログインして続きを読む