第71章

車はそのまま工場の敷地へ乗り入れ、倉庫の脇で停まった。私と小野寺允樹が並んで降りるのを見て、夏川文雄は笑みを浮かべたまま――その奥にある不快感を隠しきれていない。

「允樹、どうして急に現場を見に来る気になったんだ? 葉夏さん、今回の完成品は研究室のデータも要件を完全に満たしてる。問題は一切ない」

私は軽く頷いた。私が彼の人材を引き抜いたせいで、まだ腹の虫がおさまっていないのもわかっている。だからこそ、笑って場を整える。

「今回は允樹を連れて、実際に見せてもらいに来ただけです。協業って、結局は誠意ですから。口で『大丈夫』と言うより、目で見たほうが早いでしょう? 允樹も夏川グループの加工レ...

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