第74章

人けのない隅で、小野寺允樹は冷えきった目つきのまま山村恵太を横目に一瞥し、すぐに夏川清美へ視線を移した。

「まさかとは思うけど……お前が見つけてきた投資先ってのが、こいつで、金を溶かした――とか言うんじゃないだろうな」

夏川清美は口を開きかけて、結局、言葉が出ない。しどろもどろに喉だけが動いた。

私は淡々と山村恵太を見た。声は大きくない。

「じゃあ、あなたが説明して。どうして彼女は、あなたに2000万も渡さなきゃいけないの。恐喝? それとも別の事情? 嘘はやめてね」

山村恵太の表情が一瞬こわばり、すぐに作り笑いへと塗り替わる。

「葉夏さん……正直に言います。2000万は……俺が夏...

ログインして続きを読む