第76章

私は会社には戻らず、運転手に別の場所へ回るよう指示した。

工場の大扉を開け、並んだ部屋をいくつか抜ける。すると、壁みたいに見えていた暗い扉がすっと開き、目の前に地下へ続く長い階段が現れた。ヒールで一段踏み出すたび、脇のセンサーライトがぱ、ぱ、と追いかけるように灯る。

延々と続く階段を下りきると、角を曲がった先は少し広い空間になっていた。くすんだ黄味の照明の下、ぐるぐる巻きに縛られた男が二人。――そのうち一人は、今朝カフェにいた山村恵太だった。

私が入るなり、上原明が真っ先に喚く。

「葉夏さん、俺、仕事中にちょっとサボって寝ただけっすよ? いきなり縛って連れてくるのはやりすぎじゃないっ...

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