第77章

夏川清美の件が最終的にどう片づいたのか、私は知らない。けれど家に戻ったとき、小野寺おじいさんが誰かと電話していて、かすかに彼女の名前が聞こえた。

私に気づくと、小野寺おじいさんは笑って手招きし、隣に座れと目で促す。小野寺礼臣は私のバッグを受け取って置きながら、気遣うように尋ねてきた。

「今日は遅かったな。会社まで行ったんだぞ。秘書が『早めに帰りました』って言ってたし、電話も繋がらなかった。忙しかったのか?」

私は適当に首を振る。

「そんなでもないよ。ちょっとした用事があって」

「片づいた? 手、貸そうか?」

――彼はいつも、結局そこに戻る。

私の答えも、いつも通りだ。

「いい...

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