第78章

「清美、いまの話……どういう意味? 誘拐って……」

遠藤真莉が眉をひそめ、真っ先に声を上げた。

夏川清美は一瞬、完全にうろたえた。顔色はさっと青ざめ、私を見て息をのむ。だが次の瞬間には表情を貼り直し、唇を噛んで、きっぱりと言い切った。

「何のことだか分かりません。あの人が私を陥れようとしてるんです。わざとです。わざわざあの男を用意して、私を嵌めたんです。允樹兄さん、もう説明したでしょう? ……信じてくれますよね?」

そして矛先を私へ向け、憎しみを隠さず睨みつける。

「葉夏、いったい何がしたいの? 最初に私があなたに失礼をしたとしても、途中で何度も謝ったじゃない。どうしていつも私に突...

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