第80章

夏川清美が手術室から出てきたとき、小野寺礼臣の手術室の扉はまだ固く閉ざされたままだった。医師に付き添うように皆が廊下の奥へ消えていき、ようやく私は一人、息をつける。

どれほど時間が経ったのか。やがて手術室のランプがふっと消え、礼臣が運ばれてきた。うつ伏せのまま、瞼は閉じられ、酸素マスクが頬に押しつけられて深い跡を残している。

私は駆け寄り、そっと体勢を整えながら医師に尋ねた。

「……どうですか。大丈夫なんですか」

額に汗の筋を残した医師が、低い声で答える。

「背中の熱傷面積は55%に及んでいます。特に中央部は皮膚が衣服と癒着しており、剥離に時間がかかりました。今はまず、創部を安定さ...

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