第88章

朝早くから、会社の経理部長が私の携帯に電話をかけてきた。

「葉夏さん、できれば一度会社に来ていただけませんか。夏川グループの人たちが、いま正面玄関の前に集まって騒いでいます。もうメディアも撮ってます」

――なるほど。夏川森と夏川文雄は、今日一日を「人集め」に使ったわけだ。

私は鼻で笑った。

「すぐ行く。警備に言って、全員を社屋の外に止めて。ひとりも中に入れないで。撮りたいなら好きに撮らせて。足りないなら、もっと呼んでもいい」

身支度を整えて出ようとした私に、小野寺礼臣が慌てて声をかける。

「気をつけて。できればボディガードを二人くらい付けたほうがいい」

私はベッド脇、彼が手を伸...

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