第89章

夏川文雄は、たぶん本当に夏川清美の尻拭いをしている暇なんてなくなったのだろう。

私が数枚の財務報表を送りつけたからだ。あれを見れば嫌でもわかる。もう辻褄の合わない帳尻――それは、彼の首に突きつけられた刃そのものだと。

夏川文雄は前回よりもさらに早くやって来た。受付で一時間近く待っていたらしく、病院から会社へ戻った私を見つけるなり、早足で目の前に立ちはだかった。

「叔母さん、やっと来てくれた。ずいぶん待ったよ」

私は気だるげに彼を一瞥する。

「帳簿の話をしに来たなら、口より先にカードを持ってきなさい。カードがないなら、何を言っても無駄よ」

私がゆっくり中へ向かうと、彼は慌てて追いす...

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