第95章

まさか、榎本槙野が病室に現れるなんて――夢にも思わなかった。

黒いスーツの男が四人、足並みをそろえて病室へ入ってくる。続いて榎本槙野本人が、まるで散歩でもしてきたみたいな顔で悠々と入ってきた。

彼はまず、うつ伏せのままベッドに張りついている小野寺礼臣を一瞥しただけだった。礼臣が「いてて……」と情けなく痛がっているのを見て、露骨に鼻で笑う。

それからようやく、その目が私に落ちる。声は淡々としていて、感情の起伏が読めない。

「葉夏。帰国して数か月だよな。なんだか、ずいぶん他人みたいになった」

私は目を見開いた。

「榎本社長? どうしてここに……?」

槙野は薄く私を見て言う。

「来...

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