第98章

ただの薬塗りのはずなのに、部屋の空気がじわりと熱を帯びていく気がした。

「おぉ……っ、すは……っ、もうちょい優しく……」

「おぉ……っ、ゆっくり、ゆっくり……そんな力入れたら、痛い痛い痛い――」

すぐに、何が変なのか気づいてしまう。

軟膏はひんやり冷たいのに、私の指先だけがやけに熱い。彼の背中に走る、えぐれたような傷痕へそっと塗り広げるたび、息を含んだうめき声が漏れて――それが本気で、私の頬を赤くした。

「小野寺礼臣、変な声出すのやめてくれない?」

小野寺礼臣は苦しそうに首だけこちらへ回し、目尻を赤くして言った。

「痛いんだよ。痛かったら声くらい出るだろ」

唇を噛む。……その...

ログインして続きを読む