第10章 同士討ち

会議が終わり、冬木澪はようやく自分の個室へ移った。

ざわざわとした話し声を背に、彼女は手際よくドアを閉める。

朝、何も考えずに履いて出た靴が、まさかの靴擦れ。踵はもう、ぷっくり血豆ができていた。

――脱いで、今日は裸足で乗り切るか。

そう思ったところで、コンコン、とノック。

「どうぞ」

短く返す。

扉が開き、藤堂湊が入ってきた。手には、上品な紙袋。

彼の視線が、冬木澪が無造作に蹴り落とした白いキャンバススニーカーへ落ちる。

廊下では技術部の社員が数人、こそこそ覗き込んだが、湊の気配に気づいたのか、さっと引っ込んだ。……ただし噂だけは、もう走り出している。

『藤堂社長、冬木...

ログインして続きを読む